都立病院と財団法人東京都保健医療公社の病院・施設では、患者サービスの向上と経営の効率化を目指して、職員らが具体的な業務改善に自主的に取り組む「テーマ別改善運動(QCサークル活動)」を実施している。東京都病院経営本部と同公社は1月26日、代表する18サークルが取り組みを発表する「改善提案2010〜医療現場での取組〜」を開いた。審査の結果、「寝たまま移動で素早く終えるMRI検査」のテーマで発表した神経病院のサークル「放射線安心させ隊」が、最優秀賞を受賞した。
発表会には、都立病院と公社病院で今年度QCサークル活動に取り組んだ176サークルの中から選ばれた18サークルが参加。それぞれの活動の成果や課題などを発表し、同本部と同公社の担当者や、都立病院と公社病院の院長会、事務局長会、栄養科長会などの代表者ら14人が、テーマ選定の妥当性やプレゼンテーション能力などを審査した。
最優秀賞を受賞した「放射線安心させ隊」はMRI検査に着目し、小児患者が薬剤による鎮静検査を安楽に短時間で終えるための方策をテーマとした。
同サークルはこれまでの症例から鎮静を阻害するマイナス要因を分析し、改善策を考案。患者が鎮静に導入しやすいように、寝るまでは平らで柔らかなベッドで、検査時はそのまま移動できるよう移動用のプレートを組み込んだ安静ベッド「ぐっすり検査君」を作製した。
9月の完成以来、50人余りに使用した結果、技師アンケートでは、使い勝手の良さ、検査時間短縮効果、固定の確実さなど、良好な意見を得ているという。
審査結果発表後、病院経営本部長の中井敬三氏は、内容の良さに加え、「発表するグループの皆さんが明るく楽しげに取り組みを行っているということを非常にうれしく感じた」と述べた。
また保健医療公社の帆刈祥弘理事長は、「今回はビッグヒットはないように感じたが、すべての活動成果が地に足の付いた、小粒だがいい内容ばかりだった」と講評。その上で、「QC活動の原点には思いやりの心がある」として、活動を行うほど、患者に対する温かい医療の提供につながり、「患者や地域住民から信用される病院づくりの礎となる」とした。
このほか、入賞したサークルは次の通り。
優秀賞
「いっちにじっさ〜ん(持参)」=広尾病院の「DPCアシスト隊」▽「大久保病院消耗品カタログの作成」=大久保病院の「ピンクの象」▽「総合的なCT検査プレパレーションの試み」=八王子小児病院の「alafifty」
敢闘賞
「『ありそうでなかったこの一台』-患者さんにやさしいX線撮影補助具の作製-」=墨東病院の「チェアリーダー」▽「楽しい、おいしい小児食」=多摩北部医療センターの「ごはん大好きポニョポニョ」▽「選ばれる病院を目指して」=松沢病院の「劇団IJI」▽「もったいない!救出しよう〜期限切れ診材くん〜」=東部地域病院の「帰ってきた大改造劇的ビフォーアフター」
特別賞
「ストレッチャー上での座位撮影補助具の作製」=駒込病院の「写楽」
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